アジェイ クマル ウルヴェティ「Life Cycle」
アクリル絵の具
縦 670cm×横 620cm × 高さ 300cmの教室の壁4面
彼のふるさと、パタンガル村へ行って知ったのは、ゴンド族は、この世界の一員であることを自覚して生きている、なんと慎ましい人たちなのか、ということだった。神様を迎えるシンプルな旗が各家にはためき、土の床には神様のための御座が土の絵の具で描かれる。バナーという弦楽器をかきならしながら、はるか先祖の神々の物語を詠じる人がいる。祈りのときには、神様がトラの姿でやってきて人々を見守るという。
迷いのない線で教室の壁いっぱいに命が描かれていった。ジャングルの夜明け、朝、昼、夕刻・・・いつまでたっても、どの生きものにも目が描かれない。どうしたのかと思ったら目はいちばん最後に入れるのだという。
「目を描いたとき、この絵の中の生きものたちが一斉に命を吹き返す」のだと。
魚と鳥と人が合体した絵は、彼の得意とするものだが、「人間は人間だけでは生きていけない。他の動物や植物がいてはじめて生きていける」
シンプルだが大切なメッセージが込められている。
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